原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。(byドミトロ・ティムチュック)
5月14日の分はこちら。
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を、要約し一部解説を加えたものです。※
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■ 悪かったこと ■
(1) 親ロシアテロリストは、ウクライナ治安機関に対して「最後の忠告」を出し、ウクライナ軍がドンバスを撤退しなければ武力作戦を買いすすると宣言。期限は24時間。
この戦略家なり損ないたちが考える「武力作戦」の規模はたかが知れいてるとはいえ、テロなど点々とした悪さは十分できそうである。
(2) 宣戦布告の他に、ドンバスの親ロシア集団はまた、「スポークスマン」や「大臣」を任命したり、「憲法作成」を始めたり、「議会選」の準備を開始したりして、国家ごっこを始めた。
調子に乗るのも程々にしてほしいものだ。
(3) プーチンはやはりプーチンである。5月25日のウクライナ大統領選に合わせて、いやなサプライズを用意しているよう。
2014年5月21日らら25日まで、一連のロシアの都市(リペツク、リャザン、ヴォロネジ)で対空軍の演習が行われることが発表された。その内容としては、ミサイルなどの大型兵器による目標の砲撃、また想定敵の対空防衛システム阻止の訓練が予定されている。
度重なる脅迫行為には、もう飽きた。
■ 良かったこと ■
(1) 一部の反対の声をよそに、反テロ作戦は続き、ウクライナは戦い続けている。14日から15日かけての間、多くの出来事があり、ウクライナ治安部隊が行動力を見せてくれた。テロリストたちはたやすい相手では決してないが、きちんと計画された作戦となれば、勝ち目はないのだ。
後は、反テロ作戦が絶妙なタイミングで滞ることがないように祈るばかりである。
(2) ドネツク州の西側にあるヴェルィコノヴォセルキヴシキー(Великоновоселковский)地方では、親ロシア集団が完全に排除された。この地方では市民部隊が形成され、今後も地方を分離独立運動から守り続ける予定。部隊は既に、地方議会、地方警察署および検察を自分たちの統制下に置いている。
その趣旨を説明した幹部の言葉が気に行った。「ドネツク人民共和国側についた官僚は自動的に合法性を失ったために、ポストを失う。また、ドネツク人民共和国管轄下の武装集団の活動は妨害され、国民への直接的危険性が生じる際にはせん滅させられる。」
(3) ウクライナ国庫がようやく、国防省の口座へ振り込まれた市民の寄付金(約1.22億フリブニャ=約10.5億円)からブロックを解き、国防省がそれを使えるようになった。
待ちくたびれた。国の予算は不足しているということで3月半ばからウクライナ軍向けの寄付用口座が開かれ携帯メールによる寄付が可能になっていたにも関わらず、国も軍の装備を確保できなければ、有志の国民も援助させてもらえない状態が2カ月間も続いていたのである。軍がやっと、反テロ作戦に必要なものをはじめ、必需品を揃えられるだろう。
残る問題は、そのお金が横領されないように管理を確保すること。戦闘秘密を名目に汚職したがりそうな軍事官僚が余りにも多いからである。
(4) きょう、トルチノフ大統領代行が第862/2014大統領司令、「反テロ作戦に関する情報公表に向けた処置ついて」を承認した。
たとえば、マスコミとの繋がりが整えられる。3日間以内には、作戦情報グループが形成される予定。マスコミにとって安全な労働環境が確保され、社会に対しては最新情報が提供される。客観的な情報提供は、我々にとっては主な武器であると言っても過言ではない。
この取りまとめは、国防省の士官が行う。「情報レジスト」は、長年の付き合いでクリミアメディアセンター長としても大活躍したV.セレズニョーフ中佐を推薦したが、今のところ「上の方」からもこの推薦に応じてもらえそうである。
ここで言えるのは一つのみ。この動きは、やるべきことの氷山の一角にすぎない。情報戦ではやっと、国と有志の一般市民とが力を合わせるところまで来た。「情報レジスト」グループはあくまでも国家組織に所属しないボランティア社団である。しかし、国家首脳レベルでも耳を傾けてもらえ、また同じ目標に向けて協力し合う意志のある社団である。これは非常に、嬉しいことである。
せめて情報戦では撤退ばかりせず、ロシアにそれなりの答えを見せるときが来た。
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「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля)
「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез)
在日ウクライナ大使館、報道センター(声明およびコメント)HPはこちら。(Прес-центр посольства України в Японії)
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