原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月5日の分はこちら。
和文: O.P.
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ======================================
■悪かったこと■
(1) ファビウス・フランス外務相によると、オランド・フランス大統領との会食の際、プーチン大統領はウクライナ東部のテロリストらへの「影響力を持っている」と自慢していた。
ヨーロッパの方々、他に何を待つ必要があるだろうか。プーチンは自らテロリストらとの関係を認めているではないか。噂の第三段階追加制裁はどうした。
(2) ロシアは引き続き、ウクライナ東部「人道危機」騒ぎを国連に押しつけようとしている。
モスクワがドンバスに与えようとしている「人道支援」の狙いとは何か、良くわかっている。地域内の親ロシア(つまり、反ウクライナ)ムードを高め、影響力を得るための梃子を手に入れることである。親ロシアテロリストの人気が急下降していることもあり、クレムリンにとって重要課題なのだ。
ロシアの国益はさておき、ドンバスは幸い人道危機を語るには100年早いとはいえ、住民が直面している課題は積極的に調べ最大限の援助を与えなければならない。何せ、多くの一般市民が事実上戦闘地域で毎日を送ることになったのである。
この状況を解決するためなら、赤十字や国連のような国際組織の助けを借りてもよいだろう。問題は、どのようにすれば協力体制を築けばよいのか、である。
ところで国連についてだが、クリミア占拠時に晒したその無力さゆえにお尋ねしたいことが山ほどあるとはいえ、あらゆる紛争現場において政治的対話を取り持つ膨大な実績を持っていることを忘れてはならない。ドンバス――もちろん、テロリストなどではなく、中央政府が耳を傾けてくれないと感じる一般住民――との対話を行う上で、その経験を借りると良いのかもしれない。
(3) ロシアの似非ジャーナリストは西ウクライナのザカルパッチャ州にまで浸透している。スロバキアと隣接しているウジホロド市では、ロシアの国営一放送局の者がフィンランド記者の振りをして情報収集していたところ、保安庁に捕まりロシアに送り返された。(これは5月17日に起きたことだが、公式に報告があったのは本日。)
筆者が思うには、送り返す代わりに裁判にかけるべきでなはいだろうか。記者を名乗ったばい菌が全国に広がり悪さをしているばかりであるのだから。
国際社会にお詫びをし、マスコミと工作員の違いを説明して差し上げた上で、本格的に狩りを始めればよい。ロシアン記者9割の記者IDがサンタクロスの衣装ほど信頼ならないものであることを、そろそろ理解していただくときである。。
■ 良かったこと ■
(1) 反テロ作戦が展開中。6日は一日中スラビャンスク市周辺で戦闘が続いた。
テロリストらはスラビャンスクを「ブレスト要塞」と大げさに呼んでいるが、「ゼーロヴ高地」と呼んだ方が妥当だろう。ドイツ国防軍のごとくテロリストの生き残りがストレルコフ・ギルキンを先頭にベルリン、もとい、モスクワまでの逃亡に出、戦争やその総統の終わりを告げる日が待ち遠しい。
罪のないドンバスの住民も被害を受けていることは非常に良くないが。
※ 訳者コメント: 「ブレスト要塞」は、第二次世界大戦時初めてドイツ軍からの攻撃を受けたソ連領土の部分であり、ソ連にとっての「祖国大戦」の始まりを意味する地名である。一方で「ゼーロブ高地」は、ソ連にとっての終戦を連想させる地名である。 ※
(2) ポロシェンコ大統領とプーチン大統領が、ノルマンティー上陸作戦から70年を記念した式典で顔を合わせ、握手した。フランス大統領府の情報が正しければ、ウクライナ危機に関する交渉実施についても合意した。

L to R: German Chancellor Angela Merkel, Ukrainian President-elect Petro Poroshenko and Russian President Vladimir Putin talk after a group photo during the 70th anniversary of the D-Day landings in Benouville, Normandy. Photo: REUTERS.
クレムリンの主張では、「平和的手段による問題解決」を目指している。しかしそれと同時に、ロシアからゴキブリのごとく武装者がウクライナに侵入し続けている。
筆者の考えでは、プーチンを信頼するのは最高に愚かなことである。しかし、ウクライナの新たな大統領が勢力のみに頼っておらず、対話にオープンであるのは、政治的に良いことである。
言うまでもなく、プーチンがヨーロッパで背中に――背中に留まらなくてもよいが――唾をかけられることが、大勢の心の願いだろう。
しかし、全ての事にはときがある。
(3) ウクライナの新たな政権はまだ正式に就任したわけではないが、その到来は既に感じ取ることができる。この状況下では、2月末から6月まで行政を担ってきた「中間政権」のポジティブな実力を活用しきることが重要。
そして喜ばしいことに、今の高官僚たちがそのポストにしがみつくようなことはしていないことが見て取れる。たとえば6日のきょうは、パシンスキー大統領府長代行が辞表を出した。パシンスキーがしていたのは事実上、長い間非協力的だったが最近ようやく改善を見せ始めた軍隊や治安機関のコーディネートだった。
その経験は、国益に繋がるように十分活用できると思う。今の状況なら、たとえばいわゆる「勢力」副首相、軍需産業と軍隊・治安機関を統括するポストを復活させてはどうだろう。この数カ月間にわたり苦労して身に付けた貴重な経験を、このポストで生かされると良い。
(原文: ドミトロ・ティムチュック)
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