【情報レジスト】 5月16日(金)のまとめ――要約・解説

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原文はこちら:フェイスブック情報レジストHP。(byドミトロ・ティムチュック)
5月15日の分はこちら

※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を、要約し一部解説を加えたものです。※

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■ 悪かったこと ■

(1) 16日は、ウクライナ国境から100キロ圏内に配属されていたロシア軍の、国境近辺への集結が観察された(直接可視帯域にはまだ入っていない)。ロシア軍の幹部には、平和維持作戦に備えるようにとの指示があった。ウクライナ国境防衛隊は、国境付近の挑発行為も静まったと報告している。

嵐の前の静けさだろうか。

もしプーチンが軍事介入を考えていたのであれば、5月11日の「住民投票」がすかさず認められ、軍事介入もとっくに始まっていただろう。

「情報レジスト」の意見では、これは精神的プレッシャーの一環である。大統領選が近付くにつれどうなるか、状況を見守る予定。とはいえ、ウクライナ国防省が「軍の用意ができている」と報告しているが、もちろん、あらゆる展開に備えなければならない。

(2) 反テロ作戦の進行状況はまた波を打っている。先日の成功を収め軍が早くに安心したのか、すぐに押し返された。

ドネツク市やスラビャンスク市では、昼間から誰にも邪魔されず、新たなテロリストの検問所が設けられている。それも、クレーンやコンクリートブロックを使ったような、本格的なものである。改めて軍基地や幹部本部までが襲撃される。たとえば、ドネツク市の国民衛兵東作戦編成単位本部が親ロシア武装集団によって占拠された。

反テロ作戦の進捗に一喜一憂するのも耐えがたくなってきた。幹部の裏切りや暫定政権による意図的な敗戦が騒がれるが、終わりのないシュルな流血劇場に見えてくる。

(3) クリミアタタール。5月18日(日)は、彼らがドイツ軍に協力したという名目でクリミアから強制移住させられて70年になる。今年はまた、大きな強制収容所でその日を迎えることになった――ただし、今回は「ソ連」ではなく、「ロシア連邦」という名前の収容所である。

クリミアでは6月6日まで大規模な集会は禁じられ、例年の記念マーチができなくなった。同時に、クリミアタタール人の家宅捜査が行われ、またロシアから機動部隊が多量に寄せられている。プーチン式民主主義全開である。

クリミアの同胞は、クリミアタタール人であれウクライナ人であれ、忘れてはならない。中央政府はなぜか、その問題に見向きもしていないように見える。せめて、クリミアにおける人権侵害に関してモスクワに向けて強めの声明を出すところだが、それは見られない。裏切りとしか言いようがない。

「情報レジスト」グループとして、クリミア網を復活させクリミアでの活動を再開することにした。この義務から一瞬でも目移りしたことを、お詫びしたい。

 

■ 良かったこと ■

(1) N.ゴロムシャ検事副総長によると、検事総局はいわゆる「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を正式にテロ組織と認めた。

人を拉致して殺し、強盗し、最近は強姦にまで手を出した連中が手芸倶楽部などではないのは周知の事実であるが、それが国家レベルで「テロ」と名前が付いた。

筆者はこれについて、ドネツクを拠点とする資産家のアフメトフが所有している会社の従業員と議論することにもなった。アフメトフのメトインヴェスト社(マリウーポリ市)が親ロシア武装集団に協力し、ウクライナ軍の撤退を求めていたが、筆者が議論した女性は、そのような協力の仕方が正しく、平和をもたらすものだと一生懸命主張していた。なんでも、アフメトフを批判している筆者は悪意に満ちた人物であり、ドンバスの武装集団はテロリストなどではなく心やさしい善良な市民であると。

しかし、これ以上そのような議論はできなくなった。ドネツク・ルガンスク人民共和国を認め協力する者は、自動的にテロリストの支援者となる。そして、これはウクライナ各地の資産家やリーダーだけではなく、ウクライナ国内のテロを支える最も強力な「パートナー」、ロシアにも当てはまる。

(2) ウクライナにおける人権状況に関する国連の報告書

ロシアが「人民兵」と称しポジティブに描く者たちの正体を、国連が明らかにした。そしてその描写は、普通のウクライナ人の目に映るのと同じ、犯罪者にならず者の姿である。

ロシアはこれをすかさず批判。ロシア外務省は、自らの好む行為を国連に当てはめ、国連の報告書が客観性を欠き暫定政権を美化しようとしているとした。

(3) ルガンスク市では、いわゆる「南東部兵隊」の幹部に当たるアレクセイ・リルケ氏が逮捕された。

武装者の一人が捕まったくらいで大したことないと思われそうだが、実際は、ドンバス困惑を沸き立たせているキーパーソンはそう多くはない。「大臣」「最高総司令官」「スポークスマン」と自称する親ロシア「活動家」を数十人押さえておけば、苦労は半分になる。
なので、このような知らせは多いほど良い。

(4) ウクライナ国防相によると、反テロ作戦に関わった軍人への奨励として、数倍の昇給や幅広い社会・福祉特典が与えられる。

同時にヤツェニューク首相は、反テロ作戦時に亡くなった軍人の遺族に住宅が与えられるように求めた。

二つとも、非常に大事な試みである。今国のために血を流している彼らは、英雄である。そして国は、彼らが大切にされていると確信するためにはできるだけのことをしなければならない。

 

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「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля)
「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез)
在日ウクライナ大使館、報道センター(声明およびコメント)HPはこちら。(Прес-центр посольства України в Японії)

 

 

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