※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を、要約し一部解説を加えたものです。※
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■ 悪かったこと ■
(1) 大統領選を降りたツァリョーフ氏がモスクワから戻ってきた。(それも、テロリストらに拘束されていたOSCE団の解放について交渉するために来たクレムリンの使いルキン氏と一緒だった。) ツァリョーフがルガンスクに顔を出したわけだが、ルガンスクの「人民市長」ボロトフ氏がすかさず「住民投票」の実施を宣言し、中央政府に東部から軍を撤退させ対テロ作戦を取りやめるように要求した。
ツァリョーフがクレムリンから運んだ差し入れがどれくらいのものだったのかは定かでないが、ルガンスク議員らの宣言は以前モスクワが中央政府に求めてきたことに極似していた。また、ツァリョーフとボロトフの提案を何人の議員が指示したのかは不明である。
(2) ロシア国境付近で危ないことが起きている。国境防衛庁によると、場所によってウクライナ側の検問所が親ロシア過激集団に包囲されるところもある。
検問所の占拠はまだ見られないが、万が一ロシア軍に国境を越すための「通路」が必要になれば、国境防衛軍はかなり苦労しそうである。
(3) 治安部隊員の死亡者が相次ぐ。きょうは「アルファ」特殊部隊員が、負傷した仲間を射界の外へと運ぼうとして手りゅう弾の爆発で死亡。
ウクライナの自由のために命を落とされた方々の前に頭が下がります。一人ひとり、英雄です。
同じアルファ特殊部隊が先日テロリストらとの戦闘の結果7名の負傷者を出し、17名のテロリストをせん滅。
(4) オデッサ州のウクライナ選挙民委員会によると、警察かオデッサの医者かが、親ロシアの分離主義者らに2日の衝突関係で病院に助けを求めた負傷者の情報を流している。
親ロシアのやらず者らがすかさずウクライナ愛国者たちの名前や住所をSNSに晒し始め、「お礼参り」を呼び掛けている。
臆病者の彼らは後ろから攻撃し逃げることくらいしかできないでしょうが、群れが集まると非常に危ない存在になる。ウクライナを愛するオデッサ住民が力を合わせて自己防衛できることを祈る。
■ 良かったこと ■
(1) 対テロ作戦が続く。残念ながら、おかしな点もありつつ。
4日、クラマトルスク市を占拠していたテロリストらの排除が済んでから治安部隊も撤退した行動は良く理解できない。スラビャンスクにいる「情報レジスト」の情報源によると、再び町を支配するほどのテロリストらの勢力はそこに残っていない。しかし、治安部隊が去ってしまっては地元のギャングが活発になり無法地帯と化しかねない。
いずれにせよ、明らかな職務怠慢よりは良く分からない対テロ作戦実行のほうがましだろう。
(2) へルソン市では、特殊作戦の際にクリミアからオデッサに向かっていた36名の活動家が逮捕された。
防諜機関は頑張っている。もちろん、クリミアを出る時点で止められていたらよかったのだろうが、モスクワが南部にも押し付けようとしている流血シナリオはやはり失敗することに期待する。
(3) これは「良かったこと」よりも「笑えたこと」に当てはまる。プーチン大統領が、一連のロシアマスコミ代表に対する勲章授与を指令した。
腹を抱えてわっはっは、である。ファンタジーやSF分野の文学賞ならまだしも、ジャーナリズムのジの字も見せないロシアのマスコミはもはや全世界の笑い物である。しかし、プーチンは重宝しているよう。
筆者自身は、彼らが一生懸命なのは銭がねのためかと思っていたが、勲章のために頑張っていたとは。実にすばらしい。
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「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля)
「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез)
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