原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。
6月23日の分はこちら。
和文: O.P.
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ======================================
■ 悪かったこと ■
(1) ドンバスで公言された名ばかりの「停戦モード」に応じ続けているのは、反テロ作戦軍のみである。彼らは自発的な軍事行動を控え、攻撃されたときのみ砲撃をする。
それに引き換え、テロリストらは常に治安部隊の陣地に砲撃を浴びせ、そして本日はまた、反テロ作戦軍のヘリコプターMI-8が撃墜された。またもや、仲間が命を落としてしまったのである。
(2) (※ウクライナ、ロシア、OSCEからなる3者グループの交渉に関する事項。ウクライナからはクチマ第二代大統領が参加していたが、数日前にはメドベドチュック氏も参加することが明らかになった。V.メドベトチュック=ウクライナの政治家、ヤヌコーヴィッチ政権の支援者。ロシアが促進してきた連邦制導入を支持したことで活動禁止となった組織「ウクライナの選択」の創設者・リーダーである。※)
ウクライナ東部における危機緩和に向けられたいわゆる3者グループの交渉は、陰謀の臭いを発している。陰謀の名も、V.メドベドチュックである。
そのウクライナを嫌う立場とプーチン大統領が次女の洗礼父であることで良く知られているこの方がなぜ交渉に参加しているかについて我々が頭を痛めていると、OSCEがこう説明した。なんとメドベトチュックは、テロ組織のドネツク・ルハンスク人民共和国を代表しているというのである。
長年プーチン大作戦をウクライナで促進してきたこのような人物を交渉に参加させる意味がよく理解できない。これ一つ取っても、3者グループとやらは、モスクワが操るサーカスにしか見えなくなる。
(3) 国防省は本日、反テロ作戦地帯に配属されているウクライナ軍の62%しか防弾ベストが確保されていないことを報告した。既にあったベストに加え、購入後(それも、一般市民ボランティアの援助があって)4650着「も」の防弾ベストが反テロ作戦地帯に供給された。6月末まではその数が7000着に上る予定。軍宛ての資金は充分割り当てられているにも関わらず、である。
これには言葉を絶する。防弾ベストが不足している事実は反テロ作戦開始当初、つまり4月上旬からわかっているはずである。これだけ時間があれば、防弾ベストを生産したことのない国ですら自らの軍を守るためにはどうにかしているだろう。ウクライナはしかし、その産業実力を持ってしても、できなかった。
犯罪であり、恥である。高官僚にこのような惨事の個人責任を問おうとする者がいないのは、嘆かわしいとしか言いようがない。
■ 良かったこと ■
(1) プーチン大統領がロシア議会に要請し、ウクライナへの軍事介入権の撤回を求めたが、ポロシェンコ大統領はそれを、ウクライナの平和計画支援に向けられたクレムリンの「初めての一歩」とした。
我が国の大統領がこの一歩をポジティブに見ているのなら、「良かったこと」の一つに加えよう。筆者自身はしかし、このようなプーチンの演出を真に受けようとは思わない。この方の言葉には行動が伴った試しがないからである。
それに、プーチン自身もその後、軍事介入権が当てはまっていたのはクリミアのみと述べた。ドンバス紛争への介入は、モスクワが相変わらず認めていないようである。
(2) ルハンスク市では、住民が「ク○ロシアに帰れ」とテロリストらに呼び掛けるビラを普及させている。ビラは更に「ルハンスクを出なければ背後を撃つ」と忠告しており、著名としては「ロシア語を母語とするルハンスク市民」と記されている。
解説は必要ないことだろう。時間が経つにつれて、クレムリンの下っ端にとってのドンバスはますます居づらい土地となっていく。そうでなくては。
(3) 本日ブリュッセルがした主張では、3月EUから与えられた貿易上の特典を失わぬよう、ウクライナはEUとの連結協定を至急批准する必要がある。
EU側が連結を急がせるのであれは、望むところである。対ロシア追加制裁に長い間踏み出せていないEUの無力さとせめての相殺をなすだろう。
ところで、ドイツ・A.メルケル首相は本日、噂の対ロシア追加制裁が今週末から発する可能性もあると思いきった発言をなさった。
アンゲラ様のお言葉、天に届きますように。
(4) アメリカとヨーロッパは、国外市場におけるウクライナ産兵器の進出を促進させる意志を示した。これについては本日、アメリカ合衆国国務省G.コスナー副次官がウクライナ政府の代表との会合において話し合った。
ロシアとの縁を切ることにより大きく損するウクライナの軍需産業にとっては切実な問題である。欧米が企業に大量の注文を入れ、地域住民が(ウクライナの軍需産業が東部に集中していることも忘れずに)良い収入の職を手に入れることができれば、最高のヨーロッパ統合宣伝になるだろう。
そしてそのうちに、クウェイトやオーストラリアなどで、今はアメリカ産「エイブラムス」を愛用している方々が、ウクライナ産の「オプロート」を巡って奪い合いを起こす日も、来るのかもしれない。
- U.S. M1 “Abrams” tank
- Ukrainian T-84 “Oplot” tank
(原文: ドミトロ・ティムチュック)


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