原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。
6月13日の分はこちら。
和文: O.P.
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ======================================
■ 悪かったこと ■
(1) 本日マスコミが報道していた、ロシア・ロストフ州から、武装集団が管理している「ドルジャンスキー」国境検問所に向かう装甲車縦列は、確認されなかった。
その代わり、「ドルジャンスキー」検問所より北方へのロシア軍転進が確認された。
以前も、大部分のロシア軍が撤退させられたにもかかわらず、国境付近の緊迫状況が緩和することはなかった。むしろ、ロシアからの傭兵や武器の流入が強くなったのである。そして今は再び、ロシア軍の全面的介入の危険が蘇ってきた。
(2) 本日をもって、ロシアはウクライナへのガス輸出を完全に停止した。Y.プロダン・エネルギー相によると、ヨーロッパ向けの分量のみが残っている。A.ヤツェニューク首相は、エネルギー非常事態法案を用意するよう、エネルギー省と法務省に司令を出した。
住民にとっても、企業(つまりは、ウクライナ全体の経済)にとっても、いいことなどない。これは、ウクライナ侵略に勢いをつけるべくロシアが採用した慣例の「ガス戦争」なのである。
良い面を見出そうとするならば、大きな問題を伴いつつも、ユシチェンコ大統領の時代から取り組むべきだった問題の解決にウクライナがやっと手をつけるのである。つまり、友情を装ったロシアとの「ガス絆」を切るときが迫っているのだ。
その「絆」がウクライナに何一つよいことをもたらさないのは以前からわかっていたことだが、それでも喜んで抱き合い続けてきたのだ。
(3) ポロシェンコ大統領が本日報告したことだが、ウクライナ治安機関は250キロにもわたりロシアとの国境を管理下に戻している。
ポロシェンコ氏はポジティブ思考なのだろうか、どうやら「水が半分も入っている」コップが見える方のようである。あいにく筆者はネガティブ思考。見えるのは、「半分しか入っていない」コップ、つまり、何百キロにもわたり無法地帯と化している国境の部分。ここは、ロシアやテロリストらが手を組んで野放し状態である。
ポロシェンコは今週末まで、国境全体を閉鎖すると主張しているが、喜ぶのはその実現を目の当たりにしてからにしよう。
(※ ウ露地境は約1947キロ ※)
(4) 本日国会にて、O.リャシコ議員が地域党A.エフレモフ議会会派長に対し、モスクワに行きクレムリンより司令を受けたのではと批判した。
エフレモフ議員は、公式訪問であり「円卓会議に参加し報道もされた、秘密にしていたことなどない」と器用に交わした。「報道された」とはつまり、トイレにまで常にカメラに追われ、隠れてプーチンからの指令を受けようがなかった、とでも言いたかったのだろうか。
モスクワを訪問した地域党員は、お外で遊ぶ幼子のよう。一瞬目を離しさえすれば、汚い物を拾って口に――地域党員の場合はFSB(ロシア保安庁)のマニュアルをポケットに――入れようとする。ただし一つ大きく違うのは、子どもの行動は無意識的。意図的に自国に害を与えることもしなければ、悪さをしておきながら国家予算から給料や手当や住宅やあらゆる特典なども割り当てられることもない。
いずれにせよ、時間が経っても、警察検察は未だ、明らかにプーチン君と仲良くしている一部の政治家の行動を調べようともしていないのである。
■ 良かったこと ■
(1) ポロシェンコ大統領がウクライナ国家安全保障・国防会議で、その計画のうち主な短期目標を公表した。大統領のいわゆる「平和的計画」は、今週末までにドンバスでの砲撃を止めることにあった。
読者の皆さまと同じく、それを聞いた筆者は一連の放送禁止用語を口走った。反テロ作戦もドンバスも、戦いもせずにプーチンの足元に置かれそうな気がしたのである。しかし、ポロシェンコの計画は最後まで聞く価値があった。
プーチンの魔物がウクライナに侵入できぬようロシアとの国境を閉鎖したうえで、テロリストらに武器を捨てるチャンスを与えようと言うのである。そしてその提案に応じなかった武装者には、容赦なく立ち向かう。
良い計画である。ただし、それが実現するには二つの条件が必要。一つめは国境が本格的に閉鎖されること、二つめは砲撃が停止している間ドンバス全域にわたり武装集団の配属地がしっかり抑えられることである。この二つが確保されなければ、上記の計画は無意味である。
(2) ここ数日間にわたり反テロ作戦の形態変更が行われている。新たな形態が果たして今まで見てきたものよりどれほど効果的になるかは、何とも言えない――経験からは、結果を見るまでは喜んではいられないことを学んでいるのである。各司令官の話だけ聞けば、万事安全なのだ。
しかし、合法的な大統領がハンドルを握ったことにより我が国の戦略家らも冬眠から覚め、ようやく動き出した模様である。結果さえ伴えばよろしい。
(3) 改めて国境防衛について。最近ロシアとの国境閉鎖を働いているのは、事実上新たな国境防衛庁である。改革が完了したわけではないが、確実に変わりつつあるのだ。
新たに形成された補助部隊は既に活躍中。国境警備隊はテロリストらとの戦闘において軍隊との密接な協力を実践。国家国境防衛庁の研修センターは、戦争時の国境防衛に備えた軍事専攻コースを開いている。
これは、疑いもなく良いことである。ロシアとの国境には「鍵」がかかるまで、ウクライナは安心してはいられないのだから。。
(原文: ドミトロ・ティムチュック)
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