原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。
6月12日の分はこちら。
和文: S.J.
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ======================================
■ 悪かったこと ■
(1) プーチンのテレビ局と新聞は反テロ作戦部隊がBM-21 グラートを作戦地域で常に使用しているとの偽情報を長い事流していたが、その理由が明らかになった。なお、これまでは多連装ロケット・ランチャーは反テロ作戦地域では目撃されたことはなかった。
本日、コーカサスの傭兵と地元の戦闘員からなるテロリスト・グループがドブロポーリエにある青果市場をこのBM-21グラートで砲撃した。テロリストが保有しているBM-21は3基である。しかも、テロリストらは国家防衛隊員のふりをした。
このような恥を知るべき行為を計画し実行するクレムリンと、プーチンの意思を素直に実行している「ドネツク人民共和国」や「ルハンスク人民共和国」といった地元の輩の図々しさには際限がない。
(2) 本日、ロシアのヘリMI-35がウクライナ国境を侵犯し、隊列に従って飛行した。ヘリがウクライナ領空にいたのは非常に長い時間であるが、その状況もまた驚きである。
なぜならば、この隊列というのは、ウクライナ軍の隊列なのである。図々しいとしか言いようがない。しかし、ロシア人はウクライナ軍部隊が効果的に反撃する能力がないと信じているからこのようなことも出来るのである。残念ながら、ロシア人がそう信じるのも納得が出来る。
(3) 本日、ウクライナのある政治家が次のとおり述べた。「軍は英雄的な司令官を必要としている。スネジネ近郊で昨日発生した戦闘において、ヴィタリー・ムジェンコ将軍の活動は勇敢であった。彼が自ら作戦を指揮するのはこれが初めてのことではない。」
自分は英雄のプロモーションには賛成ではある。しかし、将軍が、しかも総指令本部副長官のポストにもありながら(ところで、彼の名前はヴィクトルである)、自ら兵士を攻撃に連れて行っているのであれば、これはウクライナ陸軍にとって終わりを意味する。
兵士を戦闘に率いることを目的として、部隊、小隊の指揮官がいるのである。総指令本部副長官であり、同時に重要な戦略担当の1人が自ら反テロ作戦で兵士を 戦闘に率いて行かなければならないというのであれば、その理由は次の2つのどちらかである。彼の部下が完全にプロとして役立たずで、彼が部下の仕事をしな ければならないのか、または、彼は反テロ作戦本部で何もすることが無いかのいずれかである。いずれにしても、この宣伝そのものが怪しいのである。
自分の考えでは、個別の戦闘に関しては、末端の兵士や将校の中に英雄を見出すべきである。将軍クラスの人間の長所と短所は、反テロ作戦の結果で判断すべきであろう。
■ 良かったこと ■
(1) マリウポリにおいて反テロ作戦の積極フェーズが成功裡に終わった。マリウポリは、テロリストの巣から再び通常の街に戻った。
午後には地元民が地元企業の従業員と設備を借りてテロリストが設置したバリケードを解体した。
自分はもうすぐドンバス最後のバリケードが解体されたとお知らせして、皆さんを祝福できるものと信じたい。差し当たり、マリウポリで治安部隊が行ったことは喜ばしく、これは重要かつ説得力ある勝利である。
(2) ロシアとの国境を閉鎖するとの作戦は継続されており、問題がない訳ではないが、それでもうまく行われている。
治安部隊員の要請により、我々はこの作戦行動の詳細は明らかにしないが、簡単に事実関係のみお知らせしている。ご理解頂きたい。治安部隊が計画の実行を完了すれば、これは反テロ作戦の終了に向けた重要な一歩となろう。
(3) テロ組織「ドネツク人民共和国」の指導者であるD.プシリンは、本日、ロシアのテレビ局の番組の中で、自分はモスクワでおとなしくしており、モスクワを離れるつもりは全くないと述べた。
逃走したネズミの親分が船には戻るつもりはないというのであれば、これは船がもう到着したという良い知らせである。他のネズミもこれを理解すべきであろう。
またプシリンは自分を襲撃することを計画しているとしてウクライナの諜報機関を批判した。昨日、ドネツクのドネツク州行政府庁舎付近で爆破されたミニバス「ガゼル」は特殊機関による仕業であるとしている。
プシリンがロシアに逃亡したということはありとあらゆるマスメディアで報じられていたのに、特殊機関がそれを知らなかったということについては、プシリン は考えが及ばないのである。それか、「ドネツク人民共和国」の仲間たちは生まれつき頭が悪いために自分達で爆発を起こしてしまった等とは恥ずかしくて言え なかったのであろう。
(4) ロシアとの国境に沿って1900㎞以上にも亘り壁を建設すべきであるとのコロモイスキー・ドニプロペトロフスク州知事のアイディアは見事である。建設費用は、コロモイスキー知事自らが負担する用意がある。
このような提案の心理的効果はてきめんである。しかし、正直なところ、このアイディアを実現しても実際に意味があるのかどうかは議論の余地がある。ロシア 連邦との国境はいずれにせよ閉鎖する必要があるが、建築物以外にも、国境警備の形態と方法が重要である。なぜならば、壁はどこであれ爆破することが出来、 ウクライナに自由に入れて、警備が無いのであれば、壁を建設する意味も無いからである。
つまり、まずは国境警備局の根本的な改革が問題なのである。国境警備部隊を強化し、車両巡回グループを創設し、国境警備隊には、偵察用のみならず戦闘用の航空隊も付け、国境周辺地域の軍部隊との緊密な協働を確保する必要がある。
また、国境警備局では汚職との闘いを妥協なく進める必要がある。汚職はいかなる壁も解決できない伝染病なのだから。
(原文: ドミトロ・ティムチュック)
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