【情報レジスト】 5月23日(金)のまとめ――要約・解説

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原文はこちら:フェイスブック情報レジストHP。(byドミトロ・ティムチュック)
5月22日の分はこちら

※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を、要約し一部解説を加えたものです。※

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■ 悪かったこと ■

(1) 「ドンバス」志願兵大隊、ドネツク州カルロウカ村付近で伏兵に遭った。

※ 訳者コメント: 「ドンバス」志願兵大隊は、ドネツク州在住で有志の軍事・警察勤務経験者からなる独立した部隊である。親ロシア武装集団の横柄な行動を見かねたセメンチェンコ予備役中尉などを中心に、2014年4月半ばごろから志願兵の募集が始まった。2014年5月21日現在、人数はおよそ120名である。なお、「ドンバス」大隊はウクライナ軍・国内軍などの管轄下にあるわけではなく独立性が高いこともあり、その分だけ効率も高く、今まで着々と一連のドネツク州地方を親ロシア武装集団から奪還している。

テロリストは完全武装しており、装甲車も伴っていた。志願兵の大部分は包囲を突破できたが、一部は取り残されてしまった。同日、「ドンバス」大隊士官セメンチェンコが捕虜の交換を求めると、武装集団幹部のベズラー氏は「捕虜は全員射殺した」と応えた。

「情報レジスト」の方では、数時間にわたって戦闘していた仲間のために助けを確保しようと一生懸命動いた。対テロ作戦司令部や国民衛兵などに援助を求めた。しかし、無駄であった。そしてどこからも、なぜ「ドンバス」大隊が暫定政権に見捨てられたのか、説明をもらっていない。

これが裏切りでなければなんであろう。

ウクライナ軍の幹部がどうやら、「ドンバス」大隊の自立した姿勢を毛嫌い、「扱いきれない」と考えているという結論に至った。

ウクライナ軍幹部の捉え方は理解できなくもない。一つの作戦においては全ての勢力が統一した幹部の管轄下にあるべきである。しかしそれは、その統一した幹部が実際に存在していればの話である。今の反テロ作戦では、どうしてもそのような幹部は見えないのだ。

見えるのは、数百人の軍を動かす権限を持つ名ばかりの「司令官」や「大佐」よりも効果的に動いている、「扱えきれない」とされている数十人のボランティアである。

「情報レジスト」はこの出来事を引き続き追い続ける予定。流されている血があまりにも多く、そしてその責任をだれも追いたがらない。それでは、ダメなのだ。

(2) テロ組織「ルガンスク人民共和国」のリーダーV.ボロトフ(自称ルガンスク州知事)が、大統領選挙の当日はテロが予想されるため、ルガンスク州の住民に投票所に行かないようにと呼び掛けた。

それも、ボロトフによるとテロを起こすのはなんと、暫定政権軍であるという。なんでも、テロを起こして親ロシア武装集団に濡れ衣を着せるつもりだとか。

最近ロシアから戻ってきたクレムリンの使いボロトフに説明してほしいのは、今何よりも、一日でも早く合法的な大統領を必要としている暫定政権が、なぜテロなどで選挙を妨害する必要があるか、ということ。

この宣言でボロトフと愉快な仲間たちは、選挙妨害のためなら無差別殺人に手を出しても構わないと、告白したにすぎないのだ。

(3) 本日ロシアの軍参謀本部は、ロシア軍がウクライナ国境から撤退し始めたと報告した。しかし、それが6月8日までは完了しないという。軍撤退になぜ2週間以上もかかるかについては、何の説明もなかった。

「情報レジスト」は5月23日の朝現在、確かに3000~4000人程度の軍集結縮小を観察できたが、これはほんの一部にすぎない。

ということは、ウクライナの大統領選挙はやはりロシアの軍事介入の危険に晒された状態で行われることになる。これはまた、東国境から一部の国境防衛部隊を撤退させドンバスの治安維持に回すことができなくなることをも意味する。

 

■ 良かったこと ■

(1) プーチン大統領は、ウクライナの大統領選挙の結果を「尊重」し、選挙後形成される正式な政権と対話し協力する予定であると述べた。

これはもちろん、クレムリンの方略だろう。かたや国境付近の軍集結、かたや選挙を認めるという姿勢。ウクライナとの対話したさよりも、欧米に向けての演出に見える。

しかし、昨日のおとといまで常識を覆すような暴言を発してきた口からせめての正論が出たのは、まずますといったところ。

(2) 他のウクライナの学校と同じく、セバストポリのレシア・ウクラインカ記念第5小中高一貫学校では終業式があった。ロシアによるクリミア占拠への反対行為として、卒業する高校生やその教師が、ウクライナの民族衣装に欠かせないヴィシヴァンカ(伝統的刺繍のあるブラウス・シャツ)を身にまとって出席した。

クリミア占拠以来親ウクライナの姿勢を見せる住民が差別やいじめに遭いがちななか、勇気のある行為であった。

※ 画像の出典はこちら

(3) ロシアのソコロフ交通相によると、6か所あるクリミアの港はその仕様上大きく使うことも発展させることも難しい。

その本当の理由についてはもちろん、言及がなかったが、クリミアの各港の主な用途はトルコなどの近辺国との物流であった。クリミア半島の占拠と共に、その物流は途絶えた。ロシアは、単独で各港をフル活用するだけのリソースを持っていない。その結果として、各港の維持にかかる費用の元が取れないために港を閉鎖し、数千人の失業者を出すことになる。

犠牲者になるのはクリミアの一般住民なので、これはもちろん、良いことであるとは言えない。しかし、ウクライナがクリミア奪還に向けて動き出すべき、多くの理由の中の一つである。ロシアが長年そうしてきたように、住民に説明をして説得し、最後には特別作戦を行うこと。

ロシアの行動と違うのは、ロシアのような「窃盗」ではなく、我々の場合は「取り戻す」ことになるのである。

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「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля)
「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез)
在日ウクライナ大使館、報道センター(声明およびコメント)HPはこちら。(Прес-центр посольства України в Японії)

 

 

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