原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月6日の分はこちら。
和文: O.P.
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ======================================
■悪かったこと■
(1) ドネツク州行政はきょう、スラビャンスク市で2人の子ども(男の子と女の子、12歳と6歳)が死亡していることを報告した。
反テロ作戦の幹部によれば、子どもたちが亡くなったのは、武装集団が教会の敷地を拠点として迫撃砲で町銃を砲撃した6月8日である。反テロ部隊はその日兵器を使っていない。
しかしそれはさほど大切ではない。子どもが死亡するというのは、起こりうる惨事の中でも最悪である。我が国の土地が子どもの血に染まるのであれば、我々は限界に達しているのだ。
(2) ロシア大統領顧問S.グラジエフ氏は、ロシアがウクライナ軍を予防攻撃する必要があると熱弁している。首都キエフまで戦車を送ることはまだしないが、上空を占拠し空軍を使ってウクライナ軍をせん滅させることはロシアにとって極めて重要であると言う。
経験からわかっていることだが、プーチンが考えることをその下っ端が口にする。ボスの許しがなければトイレにすら行けない連中なのだから、この類の発言はなおさらである。この状況で、未だロシアとの平和を夢見ている者がいるのだろうか。
(3) ウクライナは5日前に、8か所のロシア国境検問所を閉鎖し、その旨をロシアに伝えた。しかし、「情報レジスト」が別途お知らせしたように、そのうち少なくとも1か所(ドルジャンスキー検問所)では、親ロシアテロリストらが運営を続けている。このような場合、ロシア側の国境警備隊もウ露間協定に基づいて検問所を閉鎖すべきであるが、その義務を果たしてはおらず、ご親切に武装集団に協力している。
ここでまず責任を問いたいのは、ウクライナ側の国境警備隊をはじめとする治安機関、数十キロにわたり国境を無防備な状態にした張本人である。国境が開放されている分だけ、流血対抗が続くことが明らかなのだ。
しかし、それ以上にも、ロシアの責任を問いたい。責任を問っても仕方がないのだが。ロシア保安庁FSBは、モスクワやサンクトペテルブルグ、そしてロストフ・ナ・ドヌの各基地でその傭兵を訓練している。ロシアの国境防衛局は、FSBに所属している。ロシアの国境警備隊員がテロリストと仲良くするのも、無理がない。
■ 良かったこと ■
(1) ウクライナ外務省によると、ウクライナ、ロシア、OSCE(欧州安全保障協力機構)からなる3者コンタクト・グループはウクライナ大統領の平和計画規定実現の「重要な実施段階につき共通の理解に達した」。
状況がどうであれ、平和的解決は良いことである。良くないのは、次の二点。
一つは、コンタクト・グループに、侵略者でありドンバスにおける喫緊状況の源であるロシアが参加していること。モスクワがその手を止めるまでは平和など望む由もなく、ロシアをなくしては問題が解決しないことは当然わかっている。しかし、ならば「平和計画規定」と言うのではなく、「ウクライナに対するロシアの侵略阻止計画」などと名付けるべきである。美女コンテストではあるまいし、遠回しな言葉を使う必要などどこにもない。
二つ目は、当計画が不思議なほどに秘密にされていたことである。ロシアやヨーロッパにこの計画を提案しておきながら、ウクライナ政権がなぜそれを国民に公表しなかったのだろうか。他人のことは言えないが、筆者は非常に気がかりである。
(2) 共産党がザポリージャで反ウクライナ集会を開催しようとしたが、解散させられた。特に喜ばしかったのは、プーチン愛好家が「自警団と通りすがりの人」に追い払われたというマスコミの言葉遣いである。
愛国家に対する期待が高まる一方で、国家機関に対する信頼はその分だけ薄れつつある。ときには、反テロ作成も、「南東部兵隊」「ドネツク・ルガンスク人民共和国」とやらを追い払い本母船ロシアまで追いかける「通りすがりの人」が登場して初めて成功するという印象すらうける。それは徐々に、そのまま実現しつつある。
(3) 10日、ドネツクとハリコフ州の堺において、反テロ作戦の車両縦列が伏兵に遭った。先頭車の前には地雷弾が爆発し、機関銃による射撃が始まった。反テロ部隊は攻撃に応戦し、死亡者を出さずに勝利。
もちろん、攻撃されたことが良かったわけではない。戦闘がドンバスからハリコフ州にはみ出そうになったことを考えると、なおさらである。
良かったのは、反テロ作戦が始まった当初攻撃されては完敗するパターンを繰り返してきた反テロ部隊が、最近になってますます攻撃を交わす術を覚え、今度はテロリストらが完敗する側に回ったことである。つまり、治安部隊が徐々に正しい行動の仕方(この場合は、進行時の振舞い方)を覚えてきているということである。
貴い代価を払っているが、必要な経験である。
(原文: ドミトロ・ティムチュック)


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