原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。
5月23日の分はこちら。
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を、要約し一部解説を加えたものです。※
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■ 悪かったこと ■
(1) ヤヌコヴィッチ前大統領がまた浮上し、「ウクライナ国民の選択を尊重する」と発言した。しかし同時に、「選挙や大統領が合法的なものと認められるには、我が国の南東部も参加しなければならない」とも話した。
いろいろ質問がしたいものだ。まず、南東部とは、何の話だろう。ウクライナ南部も、東部の大部分も選挙に参加できている。選挙が妨害されたのは、ドンバス(それも一部)の、武装集団が選挙を中止させた地域にすぎない。
また、ヤヌコヴィッチが「我が国」などと言っているところ。イヤミだろうか、素だろうか。彼が「我が国」と言えるウクライナ、彼が源となった汚職、嘘、卑怯さと暴力に溢れた国は、もはやないのである。そして新たな――そう期待したい――ウクライナには、ヤヌコヴィッチ氏の居場所は、ない。
突っ込みどころが満載のヤヌコヴィッチ演説だが、「ヤヌコヴィッチの声」の背後にはクレムリンが作成した原稿があることはよくわかっている。つまり、彼の言うことはプーチンの立場を言語化したようなものだということ。
とはいえ、ロシア議会下院の憲法立法と建国委員会アゲエフ副会長によると、ロシア議会はウクライナ政権と建設的な対話ができることに期待していると述べた。また、下院のSIC・ユーラシア統合・同胞関係委員会スルツキー会長も同じことを主張した。
今までウクライナとの対話を避けてきたロシアだが、余儀をなくされた。問題は、その対話がどのような結果を導き出すか、である。
(2) 25日にルガンスク州のノヴォアイダルスキー地方で襲撃された投票所。攻撃した武装集団の指導をしていたのはV.マレツキー、モスクワ総主教系ウクライナ正教会に所属する修道院の院長だった。
これは、初めてのことではない。ドンバスのモスクワ総主教会ウクライナ正教会各教会や祭司は前から、反ウクライナ活動をしてきた。そして今は、テロ活動の大切な拠点にもなっている。地元の信者を対象にした反ウクライナ・プロパガンダ、武装者のかくまいや全面的協力、教会や修道院を武装集団の積み替え所にすることなどである。
もちろん、モスクワ総主教会系ウクライナ正教会というだけで、全員を疑ったり責めたりすることはできない。ロシア出身というだけでロシアの記者を全員責めることができないのと同じように、ここで国際社会からも良い目で見られないだろう。しかし、どうにかして取り組まなければならない問題である。
■ 良かったこと ■
(1) ウクライナ大統領選挙は実施された。それも、一回目で終了。その合法性と正当性は、文明的な国なら、世界中が認めるだろう。
しかし現段階で、あらたな大統領の誕生について「おめでとう!」と言えるのは、無大統領状態を脱し「非合法な政権」と言われなくなることくらいである。
本当に「この人でよかった」と喜んでいいのかどうかは、まだとても言えない。口先の約束ではなく、分離独立運動やロシア干渉の問題、また経済や社会福祉の問題などの解決に向けた最初の行動を見なければならない。
ウクライナ国民が誤算してはいないことを願う。

Poroshenko
※訳者コメント: 大統領代行は、非常事態宣言ができないなど、権限が限られている。また、ロシアは、ヤヌコヴィッチ前大統領を匿いながら、彼が今でも唯一の合法的な大統領であると主張し、ウクライナ政権を「非合法的政権」と述べてきた。ポロシェンコが全国に選ばれた大統領になることで、その主張もできなくなる。
なお、大統領選が一回目で決まったことのメリットには、「ウクライナが分裂寸前」神話の崩壊、無大統領状態を、2回目までかかったはずの3週間縮められたこと、2回目の新たな選挙妨害を恐れずに済んだことなどがある。
(2) 反テロ作戦が活発になった。たとえば、占拠されかけたドネツク空港の26日の排除作戦が良いスタートを切っている。続きもその調子で行ってくれることに期待。
良くないのは、数十万人の罪のない一般市民が住む町々で戦闘をしなければならないこと。しかし、テロリストはドンバスが居心地悪く感じ始めている。良いことである。
対テロ作戦の活発化は、作戦幹部が新しい大統領にその実力を見せつけるために起きたのではないと信じたい。筆者個人的には、対テロ作戦幹部の人事異動なしでは根本的な改善はないのではないかと感じるのだが、様子を見ることとする。
(3) 「情報レジスト」は改めて、ウクライナ国境付近のロシア軍集結を調査した。25日現在、実際に減少している。
具体的には、ウクライナ東部付近で集結しているロシア軍は約11000人、兵器車両などは約1500台である。(※比較の対象人数は不明。)
これではもちろん、まだ平和と安定を語れるわけではない。ロシア軍を国境付近に戻すなど数日でできることであり、既に何回も訓練されていることである。また、ロシア軍とは別に、ロシア側から新たな傭兵部隊や武器など、全面的な援助が流れ続けている。
しかしこれは、何週間も続いているモスクワとの静かな戦争において、久しぶりに薄く光が差し込む小さな隙間。小さな成功をも高く評価しながら、大きな成功を近づけていこう。
(原文byドミトロ・ティムチュック)
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「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля)
「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез)
在日ウクライナ大使館、報道センター(声明およびコメント)HPはこちら。(Прес-центр посольства України в Японії)


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