※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を、要約し一部解説を加えたものです。※
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■ 悪かったこと ■
(1) ルガンスク市とペルヴォマイスク市で一連の行政機関庁舎が占拠され、分離主義者らがその旗を挙げている。ルガンスク州はドネツク州と同じ道のりを辿ろうとしており、その次はハリコフ州の番である。
ウクライナ政府がもし東部をモスクワに手渡そうと考えているのなら、勇気を出して正直にそう言えばいいのである。
そうでなければ、恥ずかしがらずに行動で見せていただきたい。
わかっていただきたい。ロシア国旗を掲げた者らが唱える(プーチンがその投票の結果を認めるだろう)「住民投票」が実行されたら最後、東部のために戦うのが百倍難しくなる。今度は「親ロシア派」ではなくロシアそのものとの戦いになるからである。
(2) トルチノフ大統領代行が、分離主義者らが東部でやっている血の祭りの責任を擦り付けられる者を見つけた。ドネツク・ルガンスク州の警察を批判し、「不行使、無力、ときには犯罪に等しい裏切り行為」を嘆いた。これこそが、ウクライナ治安機関によるテロ対策の効果が低く結果が出せていない理由であるという。
事前に打ち合わせをしたかのように、 国家安全保障・国防会議もきょう同じ情報を発信している。
しかし、東部の警察が定期的に治安機関の行動を妨害してきたことは2か月前から一般人の間にも広く知られている事実である。大統領代行が今更それを認めるのは、ボケだろうか、素だろうか。3月からこの問題の解決に取り組む代わりに、国のトップが今まで何をしてきたのだろう。これだけ地域の状況を把握できたいない状態で反テロ作戦に踏み出したのだろうか。馬鹿げているとしか言いようがない。
(3) われわれ「情報レジスト」の情報では、きょうルガンスク市で実行されたシナリオは、明日明後日マリウポリとベルディャンスクでも実行される。
ウクライナ政府には、もはや期待すらしていない。
■ 良かったこと ■ (きょうは非常に少なかった。)
(1) 在ウクライナアメリカ大使館パイエット大使は、ロシア軍がウクライナ国境を一歩でも超えたら、アメリカはすぐに厳しく反応すると述べた。
現在、ロシア軍とロシア信者の狭間で国境を守っているウクライナ軍をはじめ、励みにしたい言葉である。
(2) 欧米の制裁措置は、低速度でだがプーチンを追い込みつつある。きょう、ロシアのガス輸出を担うガスプロム社は、制裁措置がロシア経済に対する国際投資家の信頼を弱めていることを認めた。
ロシアがきのうのおとといは馬鹿にしていた制裁措置だが、徐々に目覚めてきているようである。問題は、プーチンの酔いがさめるより、ウクライナの分裂を望む過激主義者らが早く力に酔ってしまうことである。
(by ドミトロ・ティムチュック)
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「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля)
「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез)



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