【情報レジスト・ティムチュック】 6月12日(木)のまとめ

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原文はこちら:フェイスブック情報レジストHP。 6月11日の分はこちら

和文: O.P.

※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ======================================

■ 悪かったこと ■

(1) 今まではロシア領土からトラックや装甲車が国境を突破して入っていたが、今度は戦車まで侵入した。最新情報では、ロシアの戦車を含む兵器車両縦列はドネツク市に向かって進行中。※日本時間13日午前3時頃現在※

クレムリンがお面を外しつつある。これが堂々としたロシアの侵略であることを未だ疑っている者がいれば、一度お顔を拝ませていただきたい。ナイーブさそのものがどのような姿をしているのか、興味があるのである。

(2) 噂をすれば、一人いらしていた。欧州安全保障協力機構(OSCE)ランベルト・ザニエル事務総長が、ウクライナからの避難者と面会するためにロシ アのロストフ州に到着すると、不思議で極まりない発言をなさった。ウクライナ東部での飛び合う砲撃はやめるべきである、それも、ウクライナ政権と東部地方 の代表が交渉を行うという政治的な方法でしなければならない、などと言うのである。ザニエル事務総長はまた、「平和的解決」の一環としてスラビャンスク市 をも訪問すると述べた。

OSCEは、その代表団がトンバス全域にわたり行った調査もむなしく、一目瞭然なことを見逃している印象を受ける。 それは、「平和的解決」を望むならスラビャンスクではなく、モスクワに出向かなければならないことである。そしてまずは、プーチンに問い詰めなければなら ない――いつまでテロリストらを支援し、ドンバスに傭兵の群、武器の山と米ドルの束を送り続けるのか、と。

OSCEのミッションは、国連の 二の舞になりそうである。他でもない国連は僅か3か月前の3月に、ロシアを非難する代わりに「当事者同士の政治的対話」をすべきであると、キエフを説得し ていた。その結果、国連がのんきなお説教を繰り返しているうちに、ウクライナはクリミアを失った。

そして今回は、ロシアがドンバスをもぎ取ろうとしている間に、OSCEが同じような寝言を言っている。

愛 なる欧米の皆さま、どうか目覚めていただきたい。ロシア側から、ウクライナへの完全な軍侵攻が続いているのである。その事実が目に入らないほど楽観的でい らっしゃるのであれば、国際政治に関わろうとせず、環境に優しい有機トマトのEU栽培にでも力を注いでくださった方が有意義であろう。今のお助けは、ない 方がましなのである。

(3) 12日の朝、ロシア国境に接するスニージネ町から、孤児院や家庭型児童施設の子どもを含めて25人の子どもを 載せたバスが夏季療養疎開のためにドニプロペトロウシク州に向かったところ、「ドネツク人民共和国」のテロリストらにハイジャックされ、武装集団が略奪し た国境検問所を通してロシアに移された。

これは子どもの誘拐、拉致そのものである。ロシアの国境警備隊がこの犯罪に全面的に協力したことも忘れてはならない。

ここでポロシェンコ殿に質問を一つ。円卓会議に参加させ交渉するおつもりなのは、子ども誘拐し人質にするこの鬼畜らだろうか。せっかくなので、ついでに連続殺人犯や性犯罪者にも加わっていただいてはどうだろう。興味深く有意義な話し合いができるに違いない。

 

■ 良かったこと ■

(1) 幸い、欧米で協力してくださるのは魔法にかけられたOSCE事務総長だけではない。アメリカ大西洋理事会(Atlantic Council)副会長は既に、ロシアの戦車がウクライナ国境を突破した事実が確認されれば、欧米はロシアに対する第三段階追加制裁をとり、ウクライナに対する軍事援助を始めるべきであると主張している。

大西洋理事会はもちろん、最大の決断力を持った組織ではない。しかし、このような団体こそが社会・政治的意識を形成する。今度は、欧米の高官僚や政治家もしかるべき発言をする番である。

ところでNATO事務総長アナス・フォー・ラスムセンはきょう、スペインがウクライナ危機に応え、軍航空機や一連の軍艦の提供を申し出たと述べた。

タイムリーでありがたい援助である。対ロシア戦争はどうやら、これからが本番のよう。少なくとも、12日を含め最近のロシアの行動を見ていると、そういう結論にしかたどり着けないのである。

(2) ウクライナ大統領府報道部は、「良く準備された作戦の結果、ウクライナ軍と国境警備隊は100キロ以上にわたる国家国境を管理下に取り戻した」と発表した。

我々「情報レジスト」のデータでは、作戦の結果がそこまで素晴らしくはなかった。それに、管理下に戻された国境を引き続き管理下に置くためのリソースが足りるのかについても、何とも言えない。

しかし、長かった数週間、いや、数カ月間ぶりに国境の問題に国の目が行き届くようになったことは、極めてポジティブなことである。

(3) ウクライナ国防省の報告によると、ウクライナ軍に所属しており反テロ作戦に携わっている軍人は、100%の上乗せボーナスが与えられることになった。

しかしこれには、涙ぐましい数字が伴う。たとえば、一般契約兵の月給は5400フリブニャ(普段の月給は2700フリブニャ)、部隊上官は8200フリブニャ(普段の月給は4100フリブニャ)となる。
※それぞれ約47100円、約23550円、約71600円、約35800円※

ボーナスは素晴らしいことである。宣戦布告のなかった戦争の間に軍隊を激励することにも異論はない。しかしながら皆さま、月収2万3千円では国が守れるわけがない。今は国の運命が決まるときであり、愛国心でなんとか乗り越えてもらえるだろう。しかし、平和時にそれしかもらえない者は、軍服を身にまとっていてもプロにはなれるはずがない。

対ウクライナ侵略が始まってから、我々は軍隊を犠牲にして節約してきたことの苦き収穫を刈り取ってきた。今後に向けて教訓として受け取らなければならない。どうか無駄になることがないように。

 

(原文: ドミトロ・ティムチュック)

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