原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月10日の分はこちら。
和文: O.P.
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ======================================
■悪かったこと■
(1) ロシア・ラブロフ外務相の主張によれば、ロシアは「キエフ中央政権が協力を拒むために、義勇兵を通してドンバスに人道援助を与えている」。
(※ 「義勇兵」「民兵」ополченцы=ロシアマスコミがドンバスの武装者を指す際に使う用語)
東部での出来事に終止符が打たれた後にウクライナは是非、長年プーチンのジェノサイドと戦っているコーカサスの民兵を支え人道援助を送るべきであると思う。
ただし、ドンバスとコーカサスの比較は妥当ではない。ドンバスのテロリストは、犯罪者やロシアの傭兵である。一方で、コーカサスで起きているのは、自由を勝ち取るための戦いであり、モスクワによるジェノサイドへの対抗である。
それに、ウクライナに対する侵略からプーチンの目を離していただくには、ロシア国内の戦闘地域に目を向かせるしかないことも明らか。冒涜的な響きだろうが、これがウクライナ式自衛本能の表れである。
(2) テロ組織「ドネツク人民共和国」リーダD.プシリン(※自称「議会議長」)が、妨げられることなくロシア国境を越えた。また、逃亡中のO.ツアリョーフ(元議員)もルガンスクで浮上。
ウクライナ国境も、やすやすと越えられたものである。
国境防衛庁では、閉鎖された検問所はテロリストらが略奪したではないか、といいわけをする。
それは、言われなくてもわかっている。問題は、検問所略奪が起きたのはだいぶ前であるにもかかわらず、治安機関がしかるべき反応を見せてくれないことである。
(3) 反テロ部隊に所属しテロと戦っている軍人に対する「武力衝突参加者」として一連の特典が付与されるべきだが、それは事実上なされていないのみならず、不可解なことになっている。
国民衛兵(内務相軍)の状況はまだなんとか読める。内務相軍幹部の報告では、5月末まで反テロ作戦に関わっていた第一予備役大隊は、志願兵から構成されている。しかし、法律上、第一大隊は存在していない――所属しているはずの軍人は書類上、反テロ作戦に加わっていないまったく別の部隊に所属しているのである。つまり、「武力衝突参加者」特典の対象外となってしまう。
この宣戦布告のない戦争の中で、最高に非常識な手違いである。解決策はただ一つ――至急第一大隊をはじめ予備役大隊を、れっきとした戦闘主体として登録すること。それがなぜなされていないのかは、不明である。
反テロ作戦に関わったウクライナ軍部隊に対する特典付与の場合は、更に複雑な状況である。現時点で国防省からいただいている情報は矛盾している。近日中に状況を明らかにさせ、速やかにご報告する。
11日コーヴァリ国防相がした主張によると、「武力衝突参加者」証明証は反テロ作戦が終了した後に配布されるが、ここばかりは頷けない。特典の問題は、今のうちに解決しなければならない。でないと、後になって官僚らと議論してもらちが明かないのである。
いずれにせよ、一部の軍事官僚はスラビャンスク近辺の検問所で1、2週間ほど過ごしてくださるとよい。少しは決断力が身につくのかもしれない。
■ 良かったこと ■
(1) ポロシェンコ大統領は、ドネツクで「平和的解決を支持している闘争当事者を含む」円卓会議実施の可能性を検討している。
以前も申し上げたように、何事も平和的解決は良いことである。
とはいえ、殺人鬼や強姦犯と円卓を囲んで話せることなどないはずである。突然平和的解決を支持しようと思いを改めテロリストがいたとしたら、言及された形ではその参加が可能性として残っているわけである。ポロシェンコ大統領には何か、筆者に理解できないほどに高度なお考えがあると信じたい。現状では、どうしても理解しがたいのである。
(2) 国防省は、反テロ作戦対象領域を出る人を全員身元確認を行い「フィルター」にかけることを約束した。
極めてタイミングのよい決断である。ポロシェンコ大統領が避難者用「通路」作成について言及したその時点で、「フィルター」の問題が上がった。ドンバスのテロリストが避難者を装い全ウクライナに浸透しては元も子もない。
とはいえ、上記の「フィルター」調査の取りまとめが、嘆かわしい国境警備や軍隊動員とは異なり、きちんとなされることを願ってやまない。
(3) ルガンスク州I.ヴェリギナ知事は、地域党A.エフレモフ議会会派長をはじめとする地域党・共産党員がテロの支援に関わっていると述べた。
これに関しては既に多くの人が言及している。フレモフ議員にとってゆかりの深いルガンスク州の者の発言なら、国会も法執行機関もようやく動き出してくることを願う。テロの主催者やスポンサーらが国会に居座っている国では、テロと戦うことができないのだから。
(原文: ドミトロ・ティムチュック)


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