原文はこちら。
※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を、要約し一部解説を加えたものです。※
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■ 悪かったこと ■
(1) ロシア外務省は、ウクライナとアメリカが「ジュネーブ共同声明」の意味を歪めていると主張した。武装解除すべきなのは分離独立デモ隊ではなく右翼セクターであるとか。またモスクワは、ウクライナ東部からウクライナ軍を撤退させるように求めている。
聞きあきた話である。
それにとどまらずに、今度は東部にロシア軍を介入すると警告するではないか。
そ うは言われても、事実上、2ヶ月にわたりロシアの軍事介入がもはや進んでいるのだ。すでにクリミアを失っている。今度は同じ手口でウクライナの東部に南部 をもぎ取られそうである。ドネツク・ルガンスク州ではロシアの特殊部隊やプーチンが操っている「コサック」たちが動いている。軍事介入でなければ何であろ う。
ラブロフ外務相の主張は、警告というより事実の確認と言った方が正確だろう。
(2) 筆者が軍幹部の文句を言っては批判される。確かに、今の状況で政府や軍隊の批判はふさわしくない。しかし、我慢にも限界がある。
たとえば、軍幹部が奨励金を分配している様子。
国防相が著名した指令により、3、4月に実施された軍事演習に際して2千万フリブナ(約1.8億円)が奨励金として支払われることが決定。
そのうち陸軍には297.1万フリブナ、空軍には171.7万フリブナ、そして軍参謀本部にはなんと964万フリブナが割り当てられた。
ク リミア配属のウクライナ軍を本土に避難させるときにボランティア任せで微動だにせず状態だった軍参謀本部に、である。今東部を守っている兵士らに自己防 衛にでも射撃を禁じている軍参謀本部にだ。問題の演習時には事故も起き、軍参謀本部が担当している軍の動員も悲惨な状態である。しまいには「資金不足」と 言って国民から募金を募っておいきながら美味しそうな奨励金をいただくとは、厚かましさにも程があるだろう。
(3) ロシア軍が、クリミアとウクライナ本土の境界線に沿って地雷を仕掛け中である。
ロシア国境に沿って仕掛けて出られなくしたらいいのに。世界平和のためにも。
■ 良かったこと ■
(1) 今日に限って言えば反テロ作戦の進め方を避難する理由が見当たらない。治安機関の行動も24時間でかなり整えた模様。目に見える行動は氷山の一角、見えないところでは更に大きな仕事がなされている。
反テロ作戦については何回も期待を裏切られている読者から、ごもっともなバッシングを浴びせられそうである。しかし、「どうせ反テロ作戦なんて」と早くも諦めないでいただきたい。批判すべき理由が与えられたら、きちんと批判する。
ドネツク州スビャトログスク市で動いていた武装集団が、内務省の特殊部隊によって排除された。よいスタートを切ってくれたと、期待したいものである。
(2) 「情報レジスト」の観察では、21日(月)から、過激集団に占拠されているドネツク州の各地においてロシア軍参謀本部情報総局の特殊部隊員が急減している。
ロシアに呼び戻されてのことなのか、ドンバス地域の他の部分に移動してのことなのかは現時点では断言しがたいが、前者であることを祈りたい。いずれにせよ、モニタリングは続けていく。
(3) ドネツク州タルータ知事は、各地の市長や地域長に、「ドネツク人民共和国」の存在がもたらす結果を一般市民に説明していくように呼び掛けた。
タルータ知事の言い方は簡潔だった。
「2ヶ月もすれば年金を支払う機関も、受け取れる機関もなくなる。石炭の買い手もなくなるため炭鉱作業員が給料をもらえず、また小さな子どものいる母親や障害者など特典対象者の特典源も消える。」
届くべき人に伝わりますように。
(by ドミトロ・ティムチュック)
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「情報レジスト」のアーカイブはこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля)
「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез)

