Tag Archives: ルガンスク

【情報レジスト・ティムチュック】 6月20日(金)のまとめ

原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月19日の分はこちら。 和文: O.P. ※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ====================================== ■ 悪かったこと ■ (1) 反テロ作戦、一週間の停戦が始まった。ポロシェンコ大統領がその旨公表した。 これが非常に大事な政治的行動であることはわかっている。また、犠牲者を最小限に抑えてドンバスの危機を緩和化に導く可能性に賭けていることも理解している。この決断には徹底した偵察や状況の分析が先立っていることも承知済み。また、19日から20日にかけてウクライナ治安部隊が国境閉鎖に向けて多くの(そして成功を伴う)努力を注いだことも知っている。 しかしそれでも、国境は完全に閉ざされてはいない。この状況下で停戦を公言することの背後には、我らには見えない何らかの事情があるのではと憶測するしかない。ウクライナ大統領が、万事心得ていると信じたい。 (2) 19日から20日かけて、ロシアから新たな戦車、装甲車およびグラード多連装ロケットランチャーがウクライナに侵入した。 コメントはもはや必要ない。このような重兵器一両一両は、新たな挑発や衝突を意味する。今親ロシア武装勢力の手元には既に6両のグラードがある――小規模なアルマゲドンには充分。 それと同時に、テロリストらのリーダーはドンバスがスターリングラードになるだろうと発言した。 我々としては、その導師ヒトラーが1943年にスターリングラード攻防戦で惨敗したときと同じように、プーチンと愉快な仲間たちがドンバスの「スターリングラード」で敗れるだろうことは疑わない。しかしこれは、仲間の血が川のように流れることを意味するのである。 (3) ウクライナ検察総局は、軍隊向けの防弾ベスト購入を非合法的に一時停止させたとして、ウクライナ公正取引委員会に対し刑事訴訟を起こした。 軍後方部の活動は、裏切りや破壊活動を臭わせる不可解な点ずくめである。過失者を、とある体の部分に縄を結び付けて町の広場で吊るし上げでも始めたらどうだろう。非人道的ではあるが、そうすれば反テロ作戦を妨害したいと思う者が一気に減るだろう。 ■ 良かったこと ■ (1) 国境防衛が不完全であることを除いては(とはいえ、それだけで多くの良い点が打ち消されてしまうが)、反テロ作戦軍は抵抗巣を一つの地域に抑えている。 事実上、テロリストらはドネツク・ルガンスク両州の特定地域に集中し包囲されている。 (2) スラビャンスク市の住民を代表するグループは、テロリストらのリーダー・ギルキン氏に呼び掛け、町を去るよう求めた。ギルキンはそれを拒絶。 テロリストらがドンバスの一般市民にとって厄介な存在であることは周知の事実である。しかし以前は、それについては隠れてひそひそとしか話されていなかった。一方で今なら、人がそれを声に出して言っている。そのような発言のために、自称「人民共和国」の武装者に射殺されてもおかしくないとわかっていながら、である。 ちなみにルガンスクでは、町を出ていき一般市民を盾にしないでくれるようテロリストや破壊活動家に対して呼び掛けるチラシが配布されている。 ドンバス住民のこの声が、ますます大きくなっていくことを願う。ウクライナの政権も、社会も、ドンバスの住民も、平和だけを夢見ているのだ。血を流したいと願うのは、テロリストらとクレムリンにいるその飼い主らのみ。世界にも、その事実を知ってもらわねば。 (3) 治安部隊が国境を管理下に取り戻す際、「ドルジャンスキー」国境検問所付近を乗っ取っていた武装集団を国境から切り離す作戦を行った。武装集団の中にはロシアの傭兵もおり、迫撃砲で砲撃してきた。その結果、ロシアの税関員が負傷を負った。 モスクワはすぐに動き出した。至急「現場の査察およびロシア領土に対する砲撃の証拠収集」をしようと、ドルジャンスキー付近にロシア捜査委員会が到着した。大いなる騒ぎが起こる予感がしてならない。 捜査委員会のおじ様方にはしかし、ウクライナ側の検問所が前から閉鎖されておりロシア側も閉鎖に応じるべきであったにも関わらず、そこにロシアの税関員がいた事実をまず説明していただきたいものである。 皆様がテロリストとの密接な協力ごっこをしようと決めたからには、ご自身で収穫を刈り取れば良いのである。ロシアの税関員、国境警備隊員、軍人が、プーチンがトン単位で武装勢力に流している兵器のために命を落としても、筆者はよほど悲しむ理由が見いだせない。自業自得なのである。 (原文: ドミトロ・ティムチュック) ========================== 「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со 2-го апреля) 「ウクライナ情勢ーーよくある質問(ウクライナ人の視点で)」はこちら。(Мини-ликбез) 在日ウクライナ大使館、報道センター(声明およびコメント)HPはこちら。(Прес-центр посольства України в … Continue reading

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【情報レジスト・ティムチュック】 6月19日(木)のまとめ

原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月18日の分はこちら。 和文: O.P. ※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ====================================== ■ 悪かったこと ■ (1) ロシアはもはや、ウクライナ国境へ軍を転進させていることを隠さなくなった。 ロシア国防省は、NATOが活性化しているとし、「それを受けた」軍事演習の一環としてウクライナと接するロストフ・ベルゴロド両州への軍集結を始めたと言い張っている。 クレムリンはその傭兵の手でドンバスを

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【情報レジスト・ティムチュック】 6月18日(水)のまとめ

原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月17日の分はこちら。 和文: S.J. 解説: O.P. ※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ====================================== ■ 悪かったこと ■ (1) ルハンスク近郊で「アイダル」大隊が待ち伏せ攻撃に遭い、犠牲者が発生した。応戦に駆け付けた反テロ作戦軍部隊もまた大きな犠牲を出した。 亡くなった英雄たちには哀悼の意を表したい。 兵士の話によれば、この悲劇は「アイダル」大隊と反テロ作戦軍の行動が調整されていなかったために起きた由である。自分は、

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【情報レジスト・ティムチュック】 6月17日(火)のまとめ

原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月16日の分はこちら。 和文: O.P. ※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ====================================== ■ 悪かったこと ■ (1) ロシア軍が再びウクライナ国境付近に集結しているのは、大規模な挑発行為のためである。そして、集結している軍の中に見られる、ウクライナ軍服を着たロシア軍人は、その挑発行為に使われる一つの手段。 明日にでも国境付近で、ウクライナ軍を装った者らが不可解で反響を呼ぶような行動に出てもおかしくない。その行動は、プーチンがウクライナに対していかなる行動をも取れる言い訳を作るのである。 世界の半分を戦争の炎に投げ込んだヒトラーという挑発者ですら、プーチンに比べればいたずらっ子にすぎない。プーチンはまだ、その潜在的卑怯さや狡猾さの一割も見せていないのだ。 その暴走を止められるのは国際社会のみだが、その国際社会は「こっちにもそっちにも」といった声明を発するばかりで、なかなか行動に移ってくださらない。 (2) 国境にあるスニージネ市は案の定、砦になりつつある――ロシアからの重兵器が増えている模様。また、ドネツク州のヤンポリ町には武装者の急増が確認された。 ルガンスク市とドネツク州のクラスノアルメイスキー地方には、グラード多連装ロケット・ランチャーが現れた。これもまた、武装者による挑発行為にうってつけの武器である。あいにく彼らにとって、民間人の犠牲者を作り反テロ作戦のせいにすることなど、もはや日課となっている。 (3) テロリストらのそのようなところはわかっている。しかしネットでは、反テロ部隊も民間人の犠牲者を出したとして批判が広まっている。 我らは、このような批判の「きっかけ」になる事件はロシアが嘘や情報操作によって多量に作りだしていることに慣れている。しかしやはり、治安部隊の早急な対応と説明が求められるケースもある。 たとえば、スラビャンスク市に次ぎ今度はクラマトルスクの住宅街が砲撃を浴びている。反テロ作戦本部によれば、それは――上記のスラビャンスク市の場合と同じく――テロリストらの仕業である。 一般市民の犠牲者が出ることも許されないが、一般市民がテロリストらによる事実の描写を信じ切ってしまうことは、その倍許されないのである。     ■ 良かったこと ■ (1) ポロシェンコ大統領は、昨年11月から社会が求めてきた政権の「リロード」が今でも切実な問題であると述べた。 (※リロード=政府・議会など、国のトップをなす人材の清浄化※) 言うまでもない。ただし、言葉の次にはしかるべき行動も見てみたいものである。言葉をそのまま信じることにはもう飽きた。 また、各国会会派長との会議において、ポロシェンコ大統領は国会議員前倒し選挙に賛成し、憲法改訂に関する法案について話し合った。 国会議員再選は、「ウ露国会」から「ウクライナ国会」に向けた一歩であり、憲法改訂は、ドンバスとの対話において大切な部分である。両方とも、重要でタイミングの良い発意である。ここもしかし、実際の行動を見せていただきたい。 (2) ロシアから派遣され武装集団を率いるギルキン氏は、その軍事介入の要求に応じないプーチンに対し「ノヴォロシアを見捨てるな」と、そのSNSページにて忠告した。ギルキン曰く、プーチンがユーゴスラビアのミロシェヴィッチ元大統領の道連れになろうとしている。 テロリストの心の叫びである。プーチンの下っ端がご主人を脅迫しようとしているのは、逃げ場のない状況に追い込まれている証拠だろう。 一方で、これはロシアの諜報機関による演出である可能性も捨てきれない。心から前者が正しいことを願う。 ……そしてミロシェヴィッチの運命はプーチンによく合うと思う。プーチンご自身も、警護された手錠姿がいかにお似合いなのか、想像もつかないことだろう。 ※ 関連記事(ロシア語、ロシア発信)   (3) ドネツク・ルガンスク両州における紛争の平和的解決を担う大統領代理人が任命された。担当人物となるのはI.ゲラシチェンコ議員である。 テロリストらは既に交渉に関する忠告を出しており、自分の条件を強いようとしている。女性であるゲラシチェンコ議員だが、武装集団のリーダらにも、女性らしさが薄志弱行を意味するのではないことをわからせるような、優しくも説得力のある言葉を見出してくださることに期待しよう。 ……いずれにせよ、このような公職を設けただけでも、ウクライナ政権は充分に良心と平和的対話への用意を表示したと言える。   P.S. 最近反テロ作戦に関する言及を最小限に控えているが、それは治安部隊のためを考えてのことである。公開される情報については許可をいただいている。ご理解いただきたい。   (原文: ドミトロ・ティムチュック) ========================== … Continue reading

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【情報レジスト・ティムチュック】 6月16日(月)のまとめ

原文はこちら:フェイスブック・情報レジストHP。 6月13日の分はこちら。 和文: O.P. ※ 3月10日からウクライナで活動しているボランティア情報局、「情報レジスト」(”情報で抗議する”)リーダが発信しているその日の記録を和訳したものである。※ ====================================== ■ 悪かったこと ■ (1) 本日マスコミが報道していた、ロシア・ロストフ州から、武装集団が管理している「ドルジャンスキー」国境検問所に向かう装甲車縦列は、確認されなかった。 その代わり、「ドルジャンスキー」検問所より北方へのロシア軍転進が確認された。 以前も、大部分のロシア軍が撤退させられたにもかかわらず、国境付近の緊迫状況が緩和することはなかった。むしろ、ロシアからの傭兵や武器の流入が強くなったのである。そして今は再び、ロシア軍の全面的介入の危険が蘇ってきた。 (2) 本日をもって、ロシアはウクライナへのガス輸出を完全に停止した。Y.プロダン・エネルギー相によると、ヨーロッパ向けの分量のみが残っている。A.ヤツェニューク首相は、エネルギー非常事態法案を用意するよう、エネルギー省と法務省に司令を出した。 住民にとっても、企業(つまりは、ウクライナ全体の経済)にとっても、いいことなどない。これは、ウクライナ侵略に勢いをつけるべくロシアが採用した慣例の「ガス戦争」なのである。 良い面を見出そうとするならば、大きな問題を伴いつつも、ユシチェンコ大統領の時代から取り組むべきだった問題の解決にウクライナがやっと手をつけるのである。つまり、友情を装ったロシアとの「ガス絆」を切るときが迫っているのだ。 その「絆」がウクライナに何一つよいことをもたらさないのは以前からわかっていたことだが、それでも喜んで抱き合い続けてきたのだ。 (3) ポロシェンコ大統領が本日報告したことだが、ウクライナ治安機関は250キロにもわたりロシアとの国境を管理下に戻している。 ポロシェンコ氏はポジティブ思考なのだろうか、どうやら「水が半分も入っている」コップが見える方のようである。あいにく筆者はネガティブ思考。見えるのは、「半分しか入っていない」コップ、つまり、何百キロにもわたり無法地帯と化している国境の部分。ここは、ロシアやテロリストらが手を組んで野放し状態である。 ポロシェンコは今週末まで、国境全体を閉鎖すると主張しているが、喜ぶのはその実現を目の当たりにしてからにしよう。 (※ ウ露地境は約1947キロ ※) (4) 本日国会にて、O.リャシコ議員が地域党A.エフレモフ議会会派長に対し、モスクワに行きクレムリンより司令を受けたのではと批判した。 エフレモフ議員は、公式訪問であり「円卓会議に参加し報道もされた、秘密にしていたことなどない」と器用に交わした。「報道された」とはつまり、トイレにまで常にカメラに追われ、隠れてプーチンからの指令を受けようがなかった、とでも言いたかったのだろうか。 モスクワを訪問した地域党員は、お外で遊ぶ幼子のよう。一瞬目を離しさえすれば、汚い物を拾って口に――地域党員の場合はFSB(ロシア保安庁)のマニュアルをポケットに――入れようとする。ただし一つ大きく違うのは、子どもの行動は無意識的。意図的に自国に害を与えることもしなければ、悪さをしておきながら国家予算から給料や手当や住宅やあらゆる特典なども割り当てられることもない。 いずれにせよ、時間が経っても、警察検察は未だ、明らかにプーチン君と仲良くしている一部の政治家の行動を調べようともしていないのである。   ■ 良かったこと ■ (1) ポロシェンコ大統領がウクライナ国家安全保障・国防会議で、その計画のうち主な短期目標を公表した。大統領のいわゆる「平和的計画」は、今週末までにドンバスでの砲撃を止めることにあった。 読者の皆さまと同じく、それを聞いた筆者は一連の放送禁止用語を口走った。反テロ作戦もドンバスも、戦いもせずにプーチンの足元に置かれそうな気がしたのである。しかし、ポロシェンコの計画は最後まで聞く価値があった。 プーチンの魔物がウクライナに侵入できぬようロシアとの国境を閉鎖したうえで、テロリストらに武器を捨てるチャンスを与えようと言うのである。そしてその提案に応じなかった武装者には、容赦なく立ち向かう。 良い計画である。ただし、それが実現するには二つの条件が必要。一つめは国境が本格的に閉鎖されること、二つめは砲撃が停止している間ドンバス全域にわたり武装集団の配属地がしっかり抑えられることである。この二つが確保されなければ、上記の計画は無意味である。 (2) ここ数日間にわたり反テロ作戦の形態変更が行われている。新たな形態が果たして今まで見てきたものよりどれほど効果的になるかは、何とも言えない――経験からは、結果を見るまでは喜んではいられないことを学んでいるのである。各司令官の話だけ聞けば、万事安全なのだ。 しかし、合法的な大統領がハンドルを握ったことにより我が国の戦略家らも冬眠から覚め、ようやく動き出した模様である。結果さえ伴えばよろしい。 (3) 改めて国境防衛について。最近ロシアとの国境閉鎖を働いているのは、事実上新たな国境防衛庁である。改革が完了したわけではないが、確実に変わりつつあるのだ。 新たに形成された補助部隊は既に活躍中。国境警備隊はテロリストらとの戦闘において軍隊との密接な協力を実践。国家国境防衛庁の研修センターは、戦争時の国境防衛に備えた軍事専攻コースを開いている。 これは、疑いもなく良いことである。ロシアとの国境には「鍵」がかかるまで、ウクライナは安心してはいられないのだから。。   (原文: ドミトロ・ティムチュック) ========================== 「情報レジスト」のアーカイブ(4月2日~17日)はこちら。(Архив переводов ИС со … Continue reading

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